「リベラルの会」とは
「リベラルの会」は、私と数人の仲間議員が中心になって、2004年8月2日に結成した政策集団です。「憲法9条の平和精神を尊重し、集団的自衛権の行使を認めない」を旗印にして、当選3回生以下(当時の規約)の若い議員53名が集まって発足しました。
2005年末に当時の前原誠司民主党代表が「集団的自衛権の行使容認」「中国脅威論」を表明したことに対して、平岡秀夫議員と連名で月刊『世界』2006年4月号(岩波書店)に「民主党が目指すべき安全保障」と題する論文を発表したこともあって、注目を集めました。
米国に追随してインド洋やイラクへ自衛隊が派遣される中で、麻生太郎新総理は、集団的自衛権の行使は認められないとしてきた従来の「憲法解釈を変更すべきだ」と発言しています。日本と世界の平和を守るためには、憲法9条の精神を守ることこそ大切だと思います。
政策提言『「思いやりの国・日本」を目指して』について
2008年7月15日から17日にかけて、北海道支笏湖畔において「リベラルの会」の合宿を行いました。社会福祉・教育・外交防衛など幅広い政策分野における活発な議論を経て、とりまとめたのが政策提言「『思いやりの国・日本』を目指して」です。
8月5日には、民主党本部にて小沢一郎代表に「提言」を手渡し、党の政策に取り入れていただきたい旨をお伝えしました。小沢代表からは「私の考えと大きな方向とし ては一致していると思う。これから一緒に議論していきましょう」という返答を頂きました。
「リベラルの会」として、今後、党の政策に反映されるように、地道に政策課題に取り組んでいきます。
「思いやりの国・日本」を目指して (2008年7月17日発行)
「リベラルの会」は、「国づくり」の基本を、(1) 国内においては、市場主義に基づく経済の活性化および発展を基本としつつも、人権を尊重し、人々の生活を守る社会保障制度を拡充し、国民が安心して幸福を追求できるような社会の形成を図ること、(2)国際においては、貧困・病気・環境破壊等で苦しむ途上国、紛争や自然災害で疲弊・困窮している国々に対し積極的かつ果敢に支援の手を差し伸べていくことにあると考える。
1.思いやりの社会経済システムの構築
(ア)信頼互恵型の社会保障制度の構築
社会保障改革の基本的方向性は、「相互協力による賃金代替」としての社会保険的性格を強化するとともに、参加支援型の公共サービスを拡大することとする。
①公的年金制度の見直し
- 全ての年金を一元化し、基礎的年金の役割を果たす「最低保障年金」と賃金代替としての役割を果たす「所得比例年金」の組み合わせと
- 「所得比例年金」が一定額以下の年金受給者には、税金を財源とする「最低保障年金」を給付する仕組みとする。
②人間本位の医療保健制度の構築
- 国際水準並みの公的資金の追加投入により、(1)不足又は偏在している医師(産科・小児科医など)の確保、(2)患者の権利向上等、(3)救急医療の拡充など、現在急務となっている課題に早急に取り組む。
- 医療保険制度は、制度としては高齢者医療制度も内包して全国で一元化するとともに、運営は適切な規模において行う。
③参加支援型の社会保障制度
就労を困難とする状況に対しては、参加支援として、家族関係においては育児・介護サービスを、失業関係においては職業訓練、職業紹介を、退職・療養関係についてはカウンセリング、高齢者就労支援等を、それぞれ行うこととする。これによって、お互いに頑張ることを支えあう社会、やり直しが可能となる社会を築いていく。
(イ)地方分権の推進―地域主権の確立へ向けて
地方分権の基本は、「補完性の原則」と「国の関与からの脱却」とする。このため、基礎的自治体と広域自治体の適切な組み合わせを行うとともに、地方自治体の一般財源を拡充する。
(ウ)持続可能な財政の構築-公平で税収調達力の高い税制をめざして
- 税制改革は、徹底した情報公開の下に、予算の無駄を徹底的になくすことを前提とする。
- 税制改革は、所得再配分機能を強化する方向で行う。改革の中心となる所得税では、金融所得も含めた所得の総合課税(納税・社会保障番号の導入を含む)、所得控除方式から税額控除方式への移行、累進税率の強化などを実施する。
- 法人税は、租特の見直し等による課税ベースの拡大、最低保障年金の全額税方式の採用に伴う企業負担軽減の見返り等を含め、法人の社会保険料負担を含めた公的負担を他の先進国並に引き上げる。
2.思いやりの外交・安全保障政策
(ア)日本国憲法の平和主義に基づく国際貢献
- 国連「平和構築委員会」における活動を国際社会における日本の貢献の主軸とする。
- ODA予算確保を目的とする「国際連帯税」の創設を目指す。
- 「人間の安全保障省」を設置し、現在、国際協力機構(JICA)が中心に行っている0DAの実施を「人間の安全保障」という視点から統合的に実施することとする。
(イ)国連との係わり
- 自衛隊は専守防衛のための実力部隊であることを内外に対し明確にする。「人間の安全保障省」の下に「国際協力隊」を設置し、「人間の安全保障」大臣は、内閣総理大臣の指揮監督を受け、国際協力隊の隊務を統括するものとする。国際協力隊は、自衛隊がこれまで行ってきた海外での平和維持活動、災害復旧活動、人道支援活動等を、自衛隊に代わって実施する。
- 国連が国際的な紛争に迅速かつ主体的に(大国の利害関係に引きずられないように)対応できるよう、UNEPS(国際緊急平和部隊)の創設へ向けて日本が主導的に取り組む。
(ウ)米国そしてアジアとの係わり
- 日米安全保障条約は、本来の目的(日本の安全、極東地域の平和と安定)に沿った運用を行うことを再確認する。
- 米軍再編は、その必要性と妥当性を再検討する。特に、当面の課題として普天間基地の閉鎖と海外への移転を目指す。
- 6カ国協議の枠組みの「北東アジア安全保障機構」への発展の推進、および、「北東アジア非核兵器地帯条約」の締結に向けて努力する。
- 長期的には東アジア共同体の形成を目指す過程の中で、米国の参加も認容する東アジアにおける集団安全保障体制を築いていく。
(エ)「平和基本法」の制定
- 日本の安全保障の原則を明定するため、「平和基本法」を制定する。
- 平和基本法の中では、集団的自衛権の不行使原則、自衛権発動の三原則、非核三原則、自衛隊の専守防衛原則、文民統制原則及び「国際協力隊」設置、並びにアジアの地域的集団安全保障体制の構築、UNEPSの創設及び核軍縮・核兵器廃絶に向けての努力義務などを規定する。
3.思いやりの人間・環境に関する政策
(ア)子育て
- 子育ては社会全体(家庭、職場、地域、公共団体等)の仕事であり、社会全体として子育てに取り組む社会システムを構築する。
- 「子ども家庭省」を設置する。
(イ)教育
- 教育は、その目的が、多様な価値観の存在をお互いに認めあえる自立した市民を育て、人間が社会で活躍する能力を向上させることにあることを基本とする。
- 全ての市民に「学ぶ機会」を保障すると共に、「学び社会」を構築していく。「格差の連鎖」を食い止めるため、教育機会における格差の是正、平等に努める。
- 教育における人材確保のため、教員の養成、採用、研修のあり方を検討する。
(ウ)人権問題への取り組み
- 人権を中心に位置付けた社会の構築を目指し、差別禁止法の制定を目指すとともに、社会保障制度での総合的対応を図る。
- 人権侵害に係る調停・仲裁等を行う中央人権委員会および地方人権委員会を設置する。
- 人権の内国民と外国人(特に、永住の在留資格等を持ち日本に定着居住している外国人)との差別をなくす。
(エ)環境への取り組み
- 地球の気温上昇を産業革命時と比べ2℃以内に抑制することを目標とし、化石燃料への依存を低減する「低炭素社会」の構築を推進する。
- 循環型社会構築のため、3R(リデュース、リユース、リサイクル)を推進する。
- 生物多様性を維持するため、事業の中止も選択肢とする「戦略的環境アセスメント」を導入する。
- バイオエネルギー利用可能作物の栽培に休耕田を活用することを検討する。
- 環境安全保障の観点から環境外交を日本の外交方針の基軸に打ち立てる。