第217回国会 衆議院 環境委員会 第9号 令和7年5月16日
これより会議を開きます。
内閣提出、環境影響評価法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房文部科学戦略官中原裕彦さん、環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官大森恵子さん、環境省地球環境局長土居健太郎さん、環境省自然環境局長植田明浩さん、環境省環境再生・資源循環局次長角倉一郎さん、環境省総合環境政策統括官秦康之さん、防衛省大臣官房審議官奥田健さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○近藤委員長
御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○近藤委員長
質疑の申出がありますので、順次これを許します。森田俊和さん。
順次指名・・・
○近藤委員長
以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
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○近藤委員長
この際、本案に対し、齋藤裕喜さんから、立憲民主党・無所属提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。齋藤裕喜さん。
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環境影響評価法の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
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○齋藤(裕)委員
ただいま議題となりました環境影響評価法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
環境影響評価法については、平成二十三年の前回改正時に、「改正法の実施例を検証した上で、東日本大震災の被害状況もかんがみ、環境基本法の見直しも含め、より上位の施策の策定又は変更の立案の段階における戦略的環境影響評価の制度化に向けた検討を行うこと。」として、いわゆる戦略的環境影響評価の制度化に向けた附帯決議が付されておりました。
その後、平成二十三年度から、より上位の計画や政策の策定段階における環境影響評価制度について整理、検討が行われ、平成二十七年一月の時点では、同様の制度が導入されている他国の運用実態や平成二十五年四月に導入された配慮書手続の施行状況等について調査が進められており、これらを踏まえ、我が国における制度化に向けた検討を引き続き進めていく予定であるとされておりました。
しかしながら、それから十年が経過しましたが、今回の政府提出法案に戦略的環境影響評価に関する措置は設けられておりません。国内では、法アセスの対象ではありませんが、神宮外苑開発をめぐり、住民協議や情報公開の不十分さなどが注目を集めました。また、北海道の事業では、絶滅危惧種の猛禽類を含むバードストライクがアセスの評価以上に多く報告されるなど、現行の環境アセスメント制度が十分に機能していない事例が見受けられます。特に、風力発電事業は再生可能エネルギーの中でも今後拡大が期待される事業であるため、環境に配慮できず、住民の理解が得られないようでは、気候変動対策の停滞につながりかねません。
加えて、政府提出法案では、改正後の規定に関する検討の時期について、この法律の施行後十年を経過した場合とされておりますが、これでは、環境政策を含めた内外の社会情勢の変化を踏まえて、不断に環境影響評価制度全般の見直しを行い、適宜適切に制度の改善を図ることは困難です。
以上のような状況を踏まえ、本修正案を提出する次第であります。
次に、本修正案の内容を御説明申し上げます。
第一に、戦略的環境影響評価に関する措置といたしまして、政府は、この法律の公布後速やかに、環境に著しい影響を及ぼすおそれがある事業であってその計画の立案の段階から実施までの段階にあるものに関し、その事業が環境に及ぼす影響をできる限り早期に把握することが重要であることを踏まえ、その影響の調査、予測又は評価の在り方について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとするとの規定を附則に盛り込むこととしております。
第二に、改正後の規定に関する検討の時期について、この法律の施行後十年を経過した場合から、五年を経過した場合に短縮することとしております。
以上が、本修正案の趣旨及びその内容であります。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
○近藤委員長
以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。
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○近藤委員長
これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、環境影響評価法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、齋藤裕喜さん提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○近藤委員長
起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、原案について採決いたします。
原案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○近藤委員長
起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○近藤委員長
ただいま議決いたしました本案に対し、平口洋さん外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、公明党、参政党及び日本保守党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。川原田英世さん。
○川原田委員
ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
趣旨の説明は、案文を朗読して代えさせていただきたいと存じます。
環境影響評価法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
一 本法成立後、建替えの要件を政令で定めるに当たっては、環境負荷の低減と環境影響評価手続の合理化がともに実現できる基準を定めるとともに、当該政令の適用に当たっては、ガイドラインを作成するなど、建替事業実施後の新設工作物に関して、確実に環境負荷の低減が確保されるよう事業者への周知に努めること。また、適正な環境配慮を行っている事業者に向けては、建替事業の際の環境影響評価項目の絞り込み等更なる手続の合理化を図ること。
二 環境影響評価手続において事業者等が作成する図書について、国が保有するデータベースへの統合も視野に入れ、国民や他の事業者等が有用な情報を十分に利活用できる方策を検討すること。また、今後の事業による環境影響の低減に資するため、国において、当該図書についての分析を進めること。
三 風力発電及び太陽光発電は、環境影響の程度が規模ではなく立地に依拠する場合があることを踏まえ、小規模な風力発電及び太陽光発電についても適正な環境配慮が確保される施策を早期に検討し、所要の措置を講ずること。また、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく促進区域制度を活用するとともに、環境を保全する地域を設定するなど、環境への影響が小さいとされる適地へ事業を誘導していくため、ゾーニングの実施に係る課題を抽出し、地方自治体の取組を支援すること。
四 環境影響評価制度をはじめとする対話プロセスを通じて、早期の段階より地域住民等からの不安や懸念の声に真摯に応えるとともに、多様な意見の尊重に努めるよう事業者等への周知を十分に行うこと。
五 特定の地域に複数の事業が集中することによる累積的な影響評価について、標準的な手法が定まっていない現状に鑑み、統一的な基準となるガイドライン策定のための調査を開始し、早急に策定すること。
六 現行法の環境保全措置の実施状況の報告にとどまらず、事業開始後に顕在化した環境影響が確認された場合には、事業計画や環境保全措置の見直し・変更を促す仕組みを早急に検討すること。
七 諸外国等で実施されている、個別事業の計画・実施の枠組みを与えることになる上位の計画や政策の検討段階における戦略的環境影響評価の導入に向け、具体的な検討を早急に開始すること。
八 事業内容に変更等があった場合に事業者による環境配慮手続を再実施すること等を確実に担保するための方策や、法対象規模を下回る事業に係る効果的かつ効率的な環境配慮の確保等について速やかに措置する必要性に鑑み、本法附則第四条に基づく検討時期を待つことなく不断に見直しを行い、必要な措置を講ずること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○近藤委員長
以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○近藤委員長
起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。浅尾環境大臣。
○浅尾国務大臣
ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、関係省庁とも連携を図りつつ努力してまいる所存でございます。
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○近藤委員長
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○近藤委員長
御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○近藤委員長
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時四十分散会