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各論5. 子どもファースト 子育て支援、教育重視

2019年1月に千葉県野田市で起きた小4女児虐待死事件をはじめ、子どもへの深刻な虐待事件が報道されています。また、いじめによる子どもの自殺など、中学生あるいは高校生が被害者としてのみではなく、加害者として報道される事件も多くあります。その度に「どうして」という気持ちが強く湧き上ります。教育の現場では、学級崩壊やいじめ、不登校、ひきこもりなどの深刻な問題を抱えています。

これほど経済が発展し、物が豊かになったにもかかわらず、かえって子どもたちを取り巻く環境は厳しくなっています。その中で、子どもたち自身も、心の活力と大切なものを失いつつあるところもあるかもしれません。

資源のない日本の発展を支えてきたのは、勤勉さと技術革新力を備えた豊かな人材でした。この力は一体どこから来ていたのでしょうか。物質的な豊かさが、こうした心をかえってどこかへ追いやってしまったのでしょうか。人は生きがいをもって自ら進んでことを起こす時、やりがいを感じ、猛烈なパワーを発揮します。現在の日本の状況の中で、子どもたちはめざすべき「夢」や「目標」を失ってしまい、大人たちも「生きがい」を見失ってしまったのでしょうか。海外留学したいという若者は最新の内閣府の調査で約3割と、日本は、欧米7カ国の中で唯一5割を下回っています。

以前こんな二つの話を聞きました。一つはカンボジアの話です。かつて内戦による荒廃から復興を果たそうとしていた時、同国がまずやったことは、技術を教える学校の設立ではなく、民族の歌と踊りを教える学校であったそうです。技術を覚えて目の前の外貨を稼ぐことではなく、国の復興のために民族の伝統や文化を思い出させ、民族の誇りをもって復興にあたっていこうということだったのです。そして、もう一つは、アメリカの話です。ある日本からの留学生が大学のクラスに入ったばかりの時に、担当教授から「10年後自分は何をやっているか、想像して話して聞かせて下さい」という質問をされたそうです。多くのアメリカの学生、あるいは、他国からの留学生はスラスラと「夢」と「目標」を交えて話す中、その日本人留学生は何も言えなかったという話でした。
もちろん、コトはそんなに単純ではないでしょうが、私たちはもっともっと自分達が何をしたいのかを考える必要があり、その環境を整えなければならないのではないでしょうか。

しかし、それはおしつけたり、教えたりしても出てくるものではないでしょう。自らの体験の中から出てくるのではないでしょうか。私が顧問を務めるNPO法人「グリーンウッド自然体験教育センター」の仲間とともに、私は、「KID’S AU 子どもたちのアジア連合」(北東アジア子ども交流)という事業を毎年行っています。

新型コロナウイルス感染症が発生する前の2019年8月で19回目になる事業(モンゴルで開催)ですが、ロシア、モンゴル、中国、韓国、在日朝鮮、そして日本という6つの国および地域の子どもたちに野外活動(キャンプ)などを通じて交流してもらおうという試みです。こうした「海外の青少年との触れ合い」により、それぞれの子どもたちに自ら「夢」や「目標」を見つけてもらいたいと思っています。
(なお、私は超党派の学校図書館議員連盟の幹事長代理も務めていますが、学校図書館は民主主義の学校と言えると思います。自ら調べ、自ら考える力を養っていく上で、学校図書館は本当に重要です。)

[子育て支援]
さて、2019年1月に起きた小4女児虐待死事件を重く受け止め、第198回通常国会では、幼児教育・保育および大学の一部無償化の是非、児童虐待防止、子どもの貧困対策等、子どもをとりまく環境が大きな争点となり、子ども・子育てに関連する重要法案の審議が行われました。児童虐待防止法改正では政府与党が野党の主張も受け入れた修正法案が成立し、子どもの貧困対策推進法では、当初から与党と野党が一緒になった議員連盟で協議が行われ、議員立法が成立しました。ひとつの成果だと思います。

しかしながら、2019年10月から実施されている「子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案」に立憲民主党は反対せざるを得ませんでした。反対の理由は、今回の法案で無償化されるのは一部に過ぎないからだけではなく、待機児童の解消につながらず、保育の質の担保によくない影響をもたらすと考えたからです。今回の一部無償化の財源を、逆進性の高い消費税の増税分に求めたことで、所得制限もなく給付すれば、高所得層に手厚く、待機児童が給付の外では、子育て世代に格差の拡大と分断をもたらします。立憲民主党は、子どもの権利条約にそった子どもにとって最善の保育・教育を実現するため、待機児童の解消、保育の質の確保、保育士の処遇改善を中心とする修正案を提出しましたが、その主張が取り入れられなかったため、同法案に反対したのです。

同法案は衆議院の内閣委員会で審議され、質問に立った私は、無償化は経済政策なのか子どもの福祉のためなのかという根本問題を問いただしました。また、関連する問題として、いわゆる学童保育において、これまで「従うべき基準」として定められた基準を堅持し、有資格者の原則2名配置を実現するための財政措置が必要ではないかと糾しました。

2005年10月ソウルで開かれた第5回北東アジア子ども交流「Kids’ AU」

立憲民主党を中心とする野党5党1会派が、2019年4月に衆院に提出した「児童虐待を防止し、児童の権利利益の擁護を図るための児童福祉法等の一部を改正する改正案」(虐待防止法改正案)は、児童虐待の防止及び保護者への指導・支援強化のため、市町村への子ども家庭総合支援拠点の設置や、児童相談所における加害者の再発防止プログラムの実施を義務付ける内容で、児童福祉法、児童虐待防止法、DV防止法の3つの改正を含んでいます。野党案の特徴は、児童虐待の防止に加えて保護者への指導・支援を行う旨法案に明記している点でした。虐待の原因には親の養育力不足や、親自身が虐待を受けていて子どもの育て方が分からないといった問題があり、親に対する支援をしっかり行うことで虐待そのものを減らすことを野党案は目指しています。同法案は、与党との修正協議が成立し、野党案の項目が一部取り入れられたため、立憲民主党も賛成して、修正案が6月19日、成立しました。

また、2019年6月12日、議員立法の「子どもの貧困対策推進法の改正案」が全会一致で可決・成立しました。同法案は、与野党の議員が協力して改正案をつくり、立憲民主党の阿部とも子衆議院議員らが主張した「児童の権利条約(子どもの権利条約)」を法案に明記し、さらに、新たに「現在」との文言を追加しました。将来への悪影響を回避するだけではなく、現在の子どもたちの普段の生活でも、健やかに育成する環境が保障されることを掲げています。

私、近藤昭一は、「無償化」などの経済的側面だけでなく、子どもの権利条約にそった「子どもの最善の利益」を第一に実現する「子どもファースト」を目指します。

[教育重視]
2019年5月10日には、政府が「大学の無償化」と喧伝する大学就学支援法が成立しましたが、立憲民主党は反対せざるを得ませんでした。理由は、同法の学費免減の対象が全学生の12%にすぎず、高すぎる学費の値上げは容認し、支援対象とする大学等と学生に機関要件と成績要件を課し、選別を強める内容だからです。立憲民主党は、まず高すぎる大学や専門学校の授業料を引き下げ、希望するすべての子どもの高等教育の機会を保障することを目指します。憲法で保障する学ぶ権利、教育基本法で規定する教育の機会均等と大学自治の尊重を基本とした高等教育の漸進的無償化に向けて全力で取り組みます。さらに、2016年にいわゆる教育機会確保法が成立し、「フリースクール」や「オルタナティブ教育」等の多様な教育の機会を確保することが法的に定められたのだから、フリースクール等への財政的な支援も拡充すべきだと委員会質疑で訴えました。

OECDの調査によれば、2019年の日本の国内総生産(GDP)に占める教育機関への公的支出の割合は2.8%で、加盟国で比較可能な37カ国中36位です。同報告書は、日本では高等教育機関の授業料が高いにもかかわらず、奨学金を受けている学生が少ないことも指摘しています。また、幼児期から大学までの教育にかかる費用のうち、授業料や給食費などを家庭が支出する割合は28%で、加盟国の中の33カ国中6番目に高く、家庭の負担が重いことが分かります。特に大学など高等教育で他の国と比べて負担が大きく、大学教育に対する家庭支出が約52%を占め、比較可能なOECDデータ加盟国35カ国中4番目に高くなっています。

民主党政権の重点政策として2010年から開始された公立高校の授業料実質無償化制度が自民党政権によって廃止され、2015年4月から「高等学校等就学支援金」という制度に変わり、支援金の給付に所得制限が課されています。所得制限の対象は全世帯の約22%と言われ、約78%の世帯が就学支援金の対象となっていますが、現実には対象者のうち2~3割が受給できていません。2014年、政府は、授業料実質無償化制度を廃止するに際して、給付対象に漏れが生じることはない旨を確約していましたが、間もなく反故にされています。就学支援金は本来子どもに給付されるべきものであり、その子の親・保護者の就労や収入によって左右されるべきではありません。

2016年の参議院選挙においては、「奨学金」が大きなテーマとなりました。日本における「奨学金」は学生ローンであり、利率も高く、督促も厳しいと言われています。学校には行けたが、アルバイトに追われ、卒業後も返済に追われる。あるいは、家庭の経済状況で、進学したくともできないというのは、憲法で保障された教育の機会均等が守られていないということです。2017年の国会でわずかな進展はありましたが、あまりにもわずかであり、今なお、大きな課題です。民間のボランティアによる「子ども食堂」も、もっと公的な財政支援が行われるべきであり、世界三位の経済大国である日本で、なぜ、こうしたことが起こるのかを、政治はもっと考えなければなりません。

「親ガチャ」で失敗などという言葉が流行しましたが、親の所得格差が子どもの教育格差につながるようなことになってはなりません。子どもの教育の機会均等を保障することは、最も大切な政治の役割の一つです。大学等の高すぎる学費を引き下げ、給付奨学金制度をつくり、自治体と協力して就労等の若者支援に全力で取り組みます。

自らの豊富な体験がなければ、子どもたちに生き方を教えることはできません。教育カリキュラムの中身も大切です。この点については、地方分権を進め、地域や学校単位で教科書やカリキュラムの決定を出来ることが望ましいと考えます。 また、日本がもう一度新しい出発をするためには、きちんと近・現代史を見つめる教育が必要ですし、障がいのある子どもたちも一緒に学び、心豊かな、ともに生きる社会をつくってゆかなければなりません。私は、超党派「障害者の安定雇用・安心就労促進をめざす議員連盟(インクルーシブ雇用議連)」の副会長も務めていますが、障がいのある子どもも一緒に学ぶインクルーシブ(社会的包摂)教育を推進し、多様性を認め合う「子どもファースト」教育立国を目指します。

(2023年7月記)

  

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